現象学という哲学の一分野があります。
「事象そのものへ」というキャッチフレーズが示す通り、人間が実際にしている体験(現象)だけに基づこうとする哲学の手法で、その現象学を始めたのが「フッサール」です。
現象学は、のちにハイデガーなどに、実存などの問題意識を持って引き継がれて行きますが、一方で、フッサールの出発点は数学だった、とも聞きます。
フッサールが生きたのは、カントールやデデキント、フレーゲやラッセルと同じ時代。
この時代、数学とはなにかについての考え方は大きく変わり、公理によって定式化され、論理学は記号論理学になってゆきました。
つまり現象学は、数学とは何か、という議論と大いに関係をするなかで生まれてきたらしい、ということです。
そこで読んだのがこの本『数学の現象学』です。
この本には、フッサールが数学の何を問題にして、どのように考えた結果、現象学が産まれたのかが書かれています。