「構文論的推論」を容易にするワザに、「演繹定理」というものがあります。
証明したい推論が「⊃」で繋がれている場合、の左側の論理式を前提(「|-」
の左側)にしてしまうことが出来る、という定理です。
これを使うと、「⊃」でつながった命題を、小さく分割できるので、証明の見通しがつきやすくなるようです。
ところで、演繹定理もそうなのですが、「⊃」と、推論記号である「|-」 や「|=」は、その働きがよく似ています。そのため、違いが分からず、私はよく混乱していました。
これらの記号は、結果として同じ操作ができたとしても、使っている意味が違
違います。
構文論的に証明したい「|-」のか、意味論的に証明をしたい「|=」のか、
あくまで命題としてA ならば「⊃」 Bなのか、はそれぞれ違うことで、それをきちんとかき分けている、ということです。
今回で命題論理は終了となります。
参考文献
とにかく片っ端から読んでみた、と言った趣のリストであって、おすすめのリ
ストではありません…。
『ゲーデルと20世紀の論理学-2』田中一之 東京大学出版会
意味論と構文論の歴史的な経緯なども書いてあって助かった本です。
また、色々な入門書を読んで、なんだかわからなくなってきたら、本気の本(定理を一つ一つ証明してゆく本…)を読んでみるしかないようですが、この本のシリーズの 2, 3 はそういう意味での本気の論理学の本でもあります。
いいお値段しますが、証明なども省略が少ないので、なんとか喰らいつけているように思います。
『論理学への数学的手引き』 Herbert B.Enderton 1月と七月社
全部書いてある、本気の記号論理学の本。後から買ったので、あまり参考にできてはいませんが、読みやすそうです(理解できるわけではない…)。
『数学基礎論』前原昭二/竹内外史 ちくま学芸文庫
数学の基礎の入門の本で、集合論、数学の形式化、不完全性定理、直観論理などについて扱っています。
数学の証明の形式化、として論理学が扱われていて、ゲンツェンのLK,NK の手法が紹介されています。
『記号論理学』清水義雄 東京大学出版会
たまたま持っていた本で、決して読みやすい本ではありません…。
「意味論的推論」、「構文論的推論」などの言葉はこの本からもってきました。が、他の本ではあまり出てこないので一般的ではないのかも…。
「意味論的立場」「構文論的立場」などと言っている本もあります。統一された日本語はないのかも知れません…。何にしろ、この 2つをきちんと見分けましょう。
『日曜数学者のための 命題論理学入門』 Σ.Χ. 暗黒通信団
命題論理学の薄い本…?
⊢と⊨ 記号の記号の読み方(ターン、ダブルターン)が書いてある本はコレくらいでした…。(他にもあったのだろうか…?)
逆にこの呼び方、普通に通じるのでしょうか・・・?