マンガ 12.h 命題論理-8 意味論的推論

さて、原子命題の真理値を使って命題の真理値を決める方法を見てきました。しかし、原子命題の真理値が分かっているのなら苦労はしません。

ですが命題論理の推論では、個々の「原子命題」の真理値がわからない場合でも、できることがあります。

「真」であることが分かる「複合命題」がある場合、それらを使って原子命題や他の複合命題の真理値が決められることがあるわけです。証拠や条件を集めることで、真犯人を推論によってあぶり出すことが出来る、ということです。

さて、そのような推論の方法には、大雑把に2種類の方法があります。

それが、「ブールの論理代数」にルーツを持つ「意味論的推論」と「フレーゲの論理主義」にルーツを持つ「構文論的推論」です。

この二つの違いは、数学的に重要なため、証拠と証明したい命題の式を結んだ推論式を書く時に「\vdash」(ターン)と「⊨ 」(ダブルターン)という記号をつかって区別します。(この変な記号の読み方は、書いてある本があまりありません。また、文字を出すのが大変なので、以降「|-」と「|=」で代用させてください… )

ちなみに、このターン記号の左辺に「モデル」と呼ばれるものをおいたりする、似て非なる使い方もするので、罠です。注意が必要です。大きな目で見れば、「左側にあるもので、右側のものが証明できる」、という意味だと思えば良いようです。

さて、そうした上で意味論的な推論をするのですが、意味論的推論ではこの前提と結論の関係を、「⊃」を使った一つの式に変形します。こうすることで、命題の真理値を決める「真理値関数」が使えるようになるわけです。

ところで今更なのですが、「ならば」(論理包含)に「⊃」の記号を使う
のは少数派で、「→」を使うほうが一般的なようです…。

初めてみた論理学を見た本が「⊃」だったので、こうなってしまいました…