マービン・ミンスキー氏死去

すこし時間が経っていますが、有名なAI研究者であるマービン・ミンスキー氏が亡くなられたそうです。Wired記事。おこがましくもありますが、追悼の意を込めて。

私ですら知っている、ミンスキー氏の著作としては、『パーセプトロン』と、『心の社会』があります。

『心の社会』の方はなんとか読んだことがあるものの、『パーセプトロン』の方は、途中で挫折して以来、積読状態です。

パーセプトロンというのは脳細胞の仕組みにインスパイアされたニューラルネットワークの一種で、いわば最近流行りのディープラーニングのご先祖様のようなものです。

人工知能は今まで何度ものブームと幻滅を経て、そのたびに少しづつ進歩してきましたが、パーセプトロンが発表された当時も、それが学習と認識の両方を一度に解決する手法であったこともあって、たいへん盛り上がったようです。

それに対してミンスキー氏は、パーセプトロンで起こる問題点、例えばスケールが大きくなった時に計算量の増加することや学習における扱いにくい振る舞いがあることを指摘したようです。そして、ニューラルネットワークに万能性を期待する前に、人間の知能がやっていることを大局的に見るべきだと考えて書いたのが『心の社会』だったようです。

それは、知能は単一の仕組みで動いているようなものではなく、沢山の仕組み(エージェント)が互いに影響し合うことで、構成されているのだ、ということを示すものでした。(そしてそれを、特殊な構造を持つニューラルネットとして記述していた、ということに今気が付きました…。※パーセプトロンは均質な構造を持ったニューラルネットワークです。)

最近のディープラーニングでは、規模が大きくなったニューラルネットワークをうまく学習させる方法の発見やコンピュータの高速化によって、認識や学習でたくさんのことができるようになっています。ですが、それを知能という沢山の仕組みを持つシステム全体の中でどう位置づけて、どう使ってゆくのかについては、これからも解決が必要なことなのかもしれません。

追伸:もう一冊の『脳の探検』も積みっぱなしでした…。

本:『飛行機物語』鈴木真二 ちくま学芸文庫

「物語」というタイトルなので、軽めなエピソード集かと思って読んでみたら、飛行機を中心にした科学技術史の本でした。

揚力の発生する訳、ライト兄弟が飛ぶまで、エンジンの発展、プロペラの原理、金属の機体ができるまで。水力タービンからジェットエンジンへ。初期のジェット旅客機の設計問題とその教訓。などなど飛行機技術にまつわる話が盛り沢山です。

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