本:『プロタゴラス』プラトン・中澤務訳 光文社文庫

古代ギリシアの哲学者プラトンが書いた本で、ソクラテスを主人公に、ソフィストであるプロタゴラスとの議論を書いた本です。

この話の時代設定はプラトンが生まれる15年前で、実際の話というよりはプラトンによるフィクションだと思ったほうが良いようです。

 

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マービン・ミンスキー氏死去

すこし時間が経っていますが、有名なAI研究者であるマービン・ミンスキー氏が亡くなられたそうです。Wired記事。おこがましくもありますが、追悼の意を込めて。

私ですら知っている、ミンスキー氏の著作としては、『パーセプトロン』と、『心の社会』があります。

『心の社会』の方はなんとか読んだことがあるものの、『パーセプトロン』の方は、途中で挫折して以来、積読状態です。

パーセプトロンというのは脳細胞の仕組みにインスパイアされたニューラルネットワークの一種で、いわば最近流行りのディープラーニングのご先祖様のようなものです。

人工知能は今まで何度ものブームと幻滅を経て、そのたびに少しづつ進歩してきましたが、パーセプトロンが発表された当時も、それが学習と認識の両方を一度に解決する手法であったこともあって、たいへん盛り上がったようです。

それに対してミンスキー氏は、パーセプトロンで起こる問題点、例えばスケールが大きくなった時に計算量の増加することや学習における扱いにくい振る舞いがあることを指摘したようです。そして、ニューラルネットワークに万能性を期待する前に、人間の知能がやっていることを大局的に見るべきだと考えて書いたのが『心の社会』だったようです。

それは、知能は単一の仕組みで動いているようなものではなく、沢山の仕組み(エージェント)が互いに影響し合うことで、構成されているのだ、ということを示すものでした。(そしてそれを、特殊な構造を持つニューラルネットとして記述していた、ということに今気が付きました…。※パーセプトロンは均質な構造を持ったニューラルネットワークです。)

最近のディープラーニングでは、規模が大きくなったニューラルネットワークをうまく学習させる方法の発見やコンピュータの高速化によって、認識や学習でたくさんのことができるようになっています。ですが、それを知能という沢山の仕組みを持つシステム全体の中でどう位置づけて、どう使ってゆくのかについては、これからも解決が必要なことなのかもしれません。

追伸:もう一冊の『脳の探検』も積みっぱなしでした…。

本:『飛行機物語』鈴木真二 ちくま学芸文庫

「物語」というタイトルなので、軽めなエピソード集かと思って読んでみたら、飛行機を中心にした科学技術史の本でした。

揚力の発生する訳、ライト兄弟が飛ぶまで、エンジンの発展、プロペラの原理、金属の機体ができるまで。水力タービンからジェットエンジンへ。初期のジェット旅客機の設計問題とその教訓。などなど飛行機技術にまつわる話が盛り沢山です。

 

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本:『科学哲学への招待』野家啓一 ちくま学芸文庫

タイトルは科学哲学となっていますが、「科学の歴史」「科学哲学」「科学社会学」の三つがセットになった本です。

科学史もいくつか読んだり、科学哲学には『一冊でわかる 科学哲学 』など、読みやすい本があるのですが、最初に全体が見れるこの本を読んでたら良かったのかも。

 

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本:アリストテレス『心とは何か』桑子敏雄訳 講談社学術文庫

古代ギリシアの哲学者、アリストテレスの書いたものの翻訳です。

この本で「心」と訳されているのは、「プシューケー(息)」という古代ギリシア語で、「霊魂」などとも訳されている言葉。訳者は、その使われ方が、日本語の「こころ」という言葉の使われ方が似ていることより、そう訳すのがよいと考えたそうで、それは結構あっているように思う。

 

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マンガ6.b「停止性問題」

コンピュータと不完全性定理の関係です。

プログラミングをしていると、同じところをぐるぐる回って、永遠に止まらないプログラム、というのを書いてしまうことがあります。当然いつまでたっても答えが出ないので、うれしくない状況です。

この話は準備中ですが、漫画のページはこちら

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